健診結果登録の自動化について
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中島クリニック 鑪様 / 参考資料

健診結果登録の自動化について — ご質問への回答

2026年9月3日 / 合同会社AIのある暮らし 岩本和也 / あくまで参考として調査・整理したものです

クリニックの事務スタッフとAIが一緒に健診結果を扱うイメージ
健診結果の登録を、AIといっしょに。まずは全体のイメージから
先に結論

技術的にはできます。

「患者情報はAIに入れない」前提で組むと、AIにデータそのものを触らせるのではなく、データを振り分ける・添付する・転記する・入力する「仕組みそのもの」をAIに作らせる、という形になります。作るときにAIが見るのは架空のデータだけ。できあがった仕組みは、院内PCの中で動きます。

仕組みづくりそのものの伴走は私の支援範囲外となりますが、できる限り実現性の高い形でまとめました。このページをそのままCodexに渡してご相談いただけます。

4つのご質問に、ひと言ずつ

1
Codex等で、登録・PDF紐付けの自動化は技術的に可能か
可能です。「名簿を見て入力する」「該当者を探してPDFを添付する」は画面操作の自動化。済生会熊本病院では健診予約リスト1,829名分の登録をRPA化し46時間削減という事例もあります
2
要配慮個人情報を、どんな仕組み・運用なら安全に扱えるか
本番でAIに患者情報を見せない前提で組むと、AIが触るのは架空のデータだけ、動くのは院内PCの中だけ、という形になります
3
生成AIを使うべきか、ローカルRPAを選ぶべきか
いまは両方。生成AI(Codex)は作る係、院内RPAは動かす係。ただし9/3発表のGPT-6 Astraでコンピュータ操作の性能が上がっており、近い将来はCodexだけで完結する可能性が高いです
4
実現するなら、どんな構成・進め方か
架空データ5件で台本 → Codexに作らせる → 数件テスト → 人が起動して確認

この前提で組むと、こうなります

点線の枠=院内PC。患者情報はこの枠から出ません。AIは枠の外で「作る時」だけ手伝います(参考図)

院内PC・院内ネットワーク(患者情報はここから出ない) 受診者名簿 (Excel/CSV) 健診結果PDF (フォルダに保存) 自動操作スクリプト (RPA・Codexが作成) このPCの中だけで動く カルテシステム の画面 入力・添付 担当者が起動・最終確認 結果一覧をチェックしてOK 実行ログ いつ・誰が・何件 Codex/Claude Code 作る時だけ使う(クラウド) 見せるのはダミーデータのみ できあがったスクリプト (プログラム)だけを持ち込む 画面が変わって動かなくなったら ここに戻って直してもらう
おすすめの全体像(=「レベルA:完全ローカル」):AIは「作る時」だけ、動かすのは院内PCの中の自作RPA。本番の患者情報はクラウドに出ません。読み取りだけクラウドAIに任せるB/Cは構成案のページへ。
AI(Codex)=作る係架空の名簿とPDFを見ながら、「この画面をこの順番で操作するプログラム」を書いてもらう。本番のデータは見せない
院内RPA=動かす係できあがったプログラムを院内PCで実行。名簿を1行ずつ読んで登録し、PDFを該当者に添付する。毎回同じ動き
人=確かめる係担当者がボタンを押して起動し、終わったら「登録○件・添付○件・エラー○件」を確認して完了。記録が残る
画面のイメージ(実際の画面はお使いのシステムで異なります)
カルテシステム ─ 受診者マスター登録
画面A:受診者の基本情報を登録する
2026-0912-001
(名簿の氏名)
1985/04/12
女
○○株式会社
総務部
定期健診A
クリア登録
RPAがやること:受診者名簿(Excel)を1行ずつ読み、緑の欄に自動入力して「登録」を押す。1人分が終わったら次の行へ。
カルテシステム ─ 受診者検索/ファイル添付
画面B:健診結果PDFを該当者に添付する
受診者ID 2026-0912-001
(氏名)/定期健診A
📎 ファイル添付:2026-0912-001_健診結果.pdf を選択 → 保存
戻る保存
RPAがやること:PDFのファイル名(受診者ID)で該当者を検索し、開いて「ファイル添付」→ PDFを選ぶ → 保存。全員分くり返す。

緑の欄=RPAが自動で入れるところ。黄色=氏名など、AIには見せずにRPAだけが扱うところ。

AIが下書きを作り、人が確認して判子を押す役割分担のイメージ
AIは下書きまで、確認と確定は人。これが役割分担の基本です

この前提で守っていること(3つ)

研修Day1の「入力ルールの信号機」に合わせて書いています。私の立場でおすすめできる線は、この3つまでです

赤:本番の患者情報は、クラウドのAIに送らない。名簿・健診結果PDF・カルテの画面をChatGPTやCodexに見せない。Codexの「画面を直接操作する機能」も、カルテ画面では使わない
緑:AIに作らせる時は、架空のデータで。「山田太郎/1985-04-12/定期健診A」のような名簿5件と、架空の健診結果PDF5件を作って渡す
黄:どうしても読み取りをAIに任せたい時は、仮名化してから。氏名を「No.001」に置き換え、対応表は院内だけで管理する。この手順は詳細版に載せています
実名は金庫にしまい、番号に置き換えた書類だけをAIに渡すイメージ
実名は金庫へ、番号だけAIへ。これが「仮名化」の基本です

進め方(小さく始めます)

いつでも① 台本づくり架空の名簿5件+PDF5件を用意し、登録画面と添付画面の操作をスクショ付きで書き出す。健診結果PDFが「文字をドラッグで選べる型」かも確認
台本ができたら② 道具と方針を決めるCodexに「この台本どおりに動くプログラムを作りたい。道具は何がよい?」と聞くところから。ブラウザ型のカルテならPython+Playwright、Windowsアプリ型ならPower Automate Desktopが定番。研修Day2(9/30)はGemini中心で、この件は本編では扱いません
10月③ Codexで作成台本を渡してプログラムを作らせ、架空データで動作確認。読み取りが要るならWorkspaceのGeminiで試す。うまくいったら院内PCで数件だけ本番テスト
11月〜④ 運用へ担当者が起動→結果を確認、の形で運用。定例の場で「どれだけ時間が減ったか」を振り返る
検証・実装・仮名化・確認・ルールの5段階を小さく始めて登っていくイメージ
小さく始めて育てていく。まずは架空データ5件から
✅もし進めるなら、最初の一歩はこれだけ:架空の名簿5件と、架空の健診結果PDF5件を作る。これをCodexに渡して「この名簿を画面に登録する手順を一緒に整理して」と頼むところから始められます。

この分野は、いま急速に動いています

今回の回答を書いている最中にも、大きな発表が2つありました。少し先の景色として、あわせてお伝えします

2026年9月3日

OpenAIが新モデル「GPT-6 Astra」を発表

  • パソコン操作の代行が大きく強化。Webの閲覧、フォーム入力、表計算の操作を、従来より速く正確にこなします
  • 54,000件の社内テストで、意図しない操作や危険な挙動が従来モデル比で約半減
  • Codexにも順次適用。長い作業でも、文脈を保ったまま進められるようになりました
これが意味すること。
今回このページで「AIに仕組みを作らせる」とご案内している部分は、数か月後には「AIにそのまま任せる」だけで済むようになるかもしれません。
2026年9月1日

アメリカでは、AIが電子カルテにつながり始めました

  • OpenAIの「ChatGPT for Healthcare」が、電子カルテEpic(米国の病院の約4割が使用)と連携
  • 前回受診からの変化、直近の検査結果、投薬状況などを質問すると、カルテの該当部分に基づいた要約が返ってきます
  • PubMed・DailyMed・CMS Coverage・ClinicalTrials.gov など、9つの公的な医療情報源にも接続できます
  • 27の臨床ユースケース・4,363件の評価で、99.1%の回答が安全と確認(精度も93%以上)
  • ただし読み取り専用。カルテへの書き込みや、患者への連絡はできません

※ 99.1%という数字は、外部の査読を受けたものではなく、OpenAIの自社評価です。

では、日本はどうなるか

いま、国内の電子カルテと生成AIが直接つながるサービスは、まだ本格提供されていません。

ただ、厚生労働省の「電子カルテ情報共有サービス」が、HL7 FHIR という国際規格(日本仕様=JP Core)で標準化を進めています。本格運用は2026年度の冬ごろの予定です。

そして、アメリカのEpicとChatGPTの連携も、同じFHIRという規格の上で実現しているものです。

つまり日本でも、カルテ側に「標準の接続口」ができる年が、すぐそこまで来ています。接続口が整えば、そこにAIがつながるのは時間の問題です。

私の見立て。
おそらく来年あたりから、日本でも「カルテとAIを直接つなぐ」話が、現実的な選択肢として出てくると考えています。

セキュリティ上ためらわれていた使い方も、便利さが上回れば一気に動きます。現場が先に走り、ルールや法整備が後から追いつく——という順番になるのではないかと見ています。
2026年9月1日 アメリカ ChatGPT × Epic カルテを読んで要約 (読み取り専用) 2026年度 冬(予定) 日本 電子カルテ情報共有サービス HL7 FHIR で標準化・本格運用 =「標準の接続口」ができる 2027年ごろ? 日本(予想) カルテ × AI の直接連携 現実的な選択肢になる アメリカの連携も、日本の共有サービスも、同じ「FHIR」という規格の上にあります
アメリカで起きたことは、日本でも接続口が整った先に来ると考えています。
🌱ですので、いま「患者情報はAIに入れない」とお伝えしているのは、永久にダメという意味ではありません。いまはまだ、院内で説明できる形が整っていないから、というだけです。
その波が来たときに慌てないよう、いまのうちに「どこまでAIに見せるか」を決めておく。この資料は、そのための土台のつもりでまとめました。

セキュリティをどこまで求めるかで、3つのレベル

Google Workspaceが入る前提です。登録・添付を院内RPAがやる点は共通で、違うのは「PDFを読み取る部分をどこでやるか」だけ

レベル読み取りをどこで外に出るデータ向いている場合
A 完全ローカル院内PCの中(AIなし、またはPC内のOCR)なしいちばん堅い形。PDFが文字埋め込み型なら、読み取りにAIは要りません
C Workspace の GeminiGoogle Workspace(Enterprise)に含まれるGemini。学習に使われず、管理者が制御仮名化した検査値のみWorkspace前提なら、これが標準の形。追加契約なしで、Day2で触る道具と同じ
B Codex/OpenAICodex/OpenAI API(Enterpriseプラン。学習不使用が既定)仮名化した検査値のみCodexを読み取りにも使いたい場合。Astraの進化で、今後この形が主流になる可能性

迷ったら C(Workspace の Gemini)を標準に、より堅くしたければ A。図解つきの比較は セキュリティレベル別の構成案、は にまとめました。

参考までに(この5つ)

セキュリティに関するYouTube・noteの一覧と要約は 02 セキュリティの参考資料 にまとめています