健診結果登録の自動化について — ご質問への回答
2026年9月3日 / 合同会社AIのある暮らし 岩本和也 / あくまで参考として調査・整理したものです
技術的にはできます。
「患者情報はAIに入れない」前提で組むと、AIにデータそのものを触らせるのではなく、データを振り分ける・添付する・転記する・入力する「仕組みそのもの」をAIに作らせる、という形になります。作るときにAIが見るのは架空のデータだけ。できあがった仕組みは、院内PCの中で動きます。
仕組みづくりそのものの伴走は私の支援範囲外となりますが、できる限り実現性の高い形でまとめました。このページをそのままCodexに渡してご相談いただけます。
4つのご質問に、ひと言ずつ
この前提で組むと、こうなります
点線の枠=院内PC。患者情報はこの枠から出ません。AIは枠の外で「作る時」だけ手伝います(参考図)
緑の欄=RPAが自動で入れるところ。黄色=氏名など、AIには見せずにRPAだけが扱うところ。
この前提で守っていること(3つ)
研修Day1の「入力ルールの信号機」に合わせて書いています。私の立場でおすすめできる線は、この3つまでです
進め方(小さく始めます)
この分野は、いま急速に動いています
今回の回答を書いている最中にも、大きな発表が2つありました。少し先の景色として、あわせてお伝えします
OpenAIが新モデル「GPT-6 Astra」を発表
- パソコン操作の代行が大きく強化。Webの閲覧、フォーム入力、表計算の操作を、従来より速く正確にこなします
- 54,000件の社内テストで、意図しない操作や危険な挙動が従来モデル比で約半減
- Codexにも順次適用。長い作業でも、文脈を保ったまま進められるようになりました
今回このページで「AIに仕組みを作らせる」とご案内している部分は、数か月後には「AIにそのまま任せる」だけで済むようになるかもしれません。
アメリカでは、AIが電子カルテにつながり始めました
- OpenAIの「ChatGPT for Healthcare」が、電子カルテEpic(米国の病院の約4割が使用)と連携
- 前回受診からの変化、直近の検査結果、投薬状況などを質問すると、カルテの該当部分に基づいた要約が返ってきます
- PubMed・DailyMed・CMS Coverage・ClinicalTrials.gov など、9つの公的な医療情報源にも接続できます
- 27の臨床ユースケース・4,363件の評価で、99.1%の回答が安全と確認(精度も93%以上)
- ただし読み取り専用。カルテへの書き込みや、患者への連絡はできません
※ 99.1%という数字は、外部の査読を受けたものではなく、OpenAIの自社評価です。
では、日本はどうなるか
いま、国内の電子カルテと生成AIが直接つながるサービスは、まだ本格提供されていません。
ただ、厚生労働省の「電子カルテ情報共有サービス」が、HL7 FHIR という国際規格(日本仕様=JP Core)で標準化を進めています。本格運用は2026年度の冬ごろの予定です。
そして、アメリカのEpicとChatGPTの連携も、同じFHIRという規格の上で実現しているものです。
つまり日本でも、カルテ側に「標準の接続口」ができる年が、すぐそこまで来ています。接続口が整えば、そこにAIがつながるのは時間の問題です。
おそらく来年あたりから、日本でも「カルテとAIを直接つなぐ」話が、現実的な選択肢として出てくると考えています。
セキュリティ上ためらわれていた使い方も、便利さが上回れば一気に動きます。現場が先に走り、ルールや法整備が後から追いつく——という順番になるのではないかと見ています。
その波が来たときに慌てないよう、いまのうちに「どこまでAIに見せるか」を決めておく。この資料は、そのための土台のつもりでまとめました。
セキュリティをどこまで求めるかで、3つのレベル
Google Workspaceが入る前提です。登録・添付を院内RPAがやる点は共通で、違うのは「PDFを読み取る部分をどこでやるか」だけ
| レベル | 読み取りをどこで | 外に出るデータ | 向いている場合 |
|---|---|---|---|
| A 完全ローカル | 院内PCの中(AIなし、またはPC内のOCR) | なし | いちばん堅い形。PDFが文字埋め込み型なら、読み取りにAIは要りません |
| C Workspace の Gemini | Google Workspace(Enterprise)に含まれるGemini。学習に使われず、管理者が制御 | 仮名化した検査値のみ | Workspace前提なら、これが標準の形。追加契約なしで、Day2で触る道具と同じ |
| B Codex/OpenAI | Codex/OpenAI API(Enterpriseプラン。学習不使用が既定) | 仮名化した検査値のみ | Codexを読み取りにも使いたい場合。Astraの進化で、今後この形が主流になる可能性 |
迷ったら C(Workspace の Gemini)を標準に、より堅くしたければ A。図解つきの比較は セキュリティレベル別の構成案、は にまとめました。
参考までに(この5つ)
セキュリティに関するYouTube・noteの一覧と要約は 02 セキュリティの参考資料 にまとめています
- 🎓今回の回答はこのルールの延長線上にあります(研修ポータル・要パスワード)
- 🗂レベルCの前提。「AI利用の境界線」「AI導入前チェックリスト」がそのまま使えます
- ▶「何がダメで、何なら大丈夫か」の線引きが12分で分かります
- 📝現場のスタッフがAIで作った自動化を、病院がどう受け入れるか。鑪様の状況とほぼ同じ構図です
- 🏥定期健診の予約リスト1,829名分の登録をRPA化して46時間削減、など